paternity leave
育休は「取ること」だけで終わっていませんか?
政府の後押しにより、男性の育児休業取得率は確実に伸びています。しかし、その裏側には見過ごせない“質の問題”が存在しています。内閣府の調査によると、育休を取得した男性のうち、実に53.6%が「何をすればいいのかわからなかった」と回答。さらに、「とるだけ育休」――つまり制度を活用して休みは取ったものの、実質的な育児参加ができていないと自覚している人が3割を超えているというデータもあります。
一見、取得率という数字だけを見れば順調に進んでいるように見える男性の育休。しかし実態は、「物理的に家にいるだけ」「仕事から一時的に離れているだけ」になっているケースが少なくありません。そしてその多くは、決して“やる気がない”のではなく、「どう関わればいいのか分からない」という不安や戸惑いからきているのです。
本記事では、そうした男性たちが陥りがちな「とるだけ育休」の構造と、その背後にある心理的・社会的課題を明らかにしつつ、より意味のある育休へと変えていくための視点と行動を提示します。
「“とるだけ育休”にはならない。富山の夫婦こそ、段取りと会話で育休を勝ち取りに行こう」
育休に入ったパパの多くが最初は戸惑います。やる気はあるのに、何から手をつければいいか分からない。結果として周囲から「とるだけ育休」に見られてしまう。これ、能力の問題じゃないんです。段取りの欠如と、夫婦の会話不足が原因。ここを先に整えれば、空気は一変します。 まず、育休を“イベント”ではなく“運用”に変えましょう。やることは三つだけです。 一つ目は、期間の地図づくり。いつからいつまで、途中の合流点はどこか——これを声に出して“二人で”決める。 二つ目は、家事・育児のオーナー制。仕事みたいに担当を人に紐づける。「洗濯とゴミは私」「風呂掃除と買い物はあなた」「夜間対応は一回目あなた・二回目私」。 三つ目は、毎日の5分作戦会議。朝か夜に「昨日できたこと/詰まったこと/今日の担当」を口で合わせる。紙はいりません。声に出すことが効きます。 言い方の型も置いておきます。今日から使えます。 「立ってるだけはやめる。立ってるなら洗濯機を回す、を合図にしよう」 「夜は一回交代。無理なときは“クールダウン”って言う。言った人がえらい」 「任せる、は“丸投げ”じゃない。任せたら感謝だけ返す。口出ししない」 ここから富山バージョンの段取りを。土地柄に合わせると、体力の消耗が激減します。 雪・車社会への適応 悪天候の日は、パパの固定ミッションを「買い出し・除雪・風呂掃除」に寄せておくと、ママの回復が早い。買い物はまとめ買い+置き配で回数を減らす。チャイルドシート装着の練習は出産前に。 シフト勤務・交替制の家庭 家庭版の引き継ぎ表を作ると日中の連絡が半分に。出勤前に三項目だけ口頭で伝える。「授乳(ミルク)の時刻」「オムツ在庫」「洗濯の干し終わり」。 祖父母が近い・三世代 ありがたい申し出ほど“範囲”を先に決めると揉めません。「買い物/上の子送迎/週1の作り置き」のどれかに固定。二人の会話や赤ちゃんの情報は夫婦の合意範囲内で共有する、と宣言しておく。 里帰り・実家滞在 “ありがとう”と同じくらい“境界線”が大事。合鍵・突然訪問・金銭の話の三点は、やさしく線を引く。「育児の決定はまず夫婦で、必要なときに相談します」を合言葉に。 ビフォー(開始前)にやることを、プロの段取りで短く。 — 上司・人事への連絡は「代行・引き継ぎ・連絡手段」の三点セットで。 — 家計は、育休手当の着金タイミングと固定費を声に出して照合。 — 物資は“開封→設置”まで事前に。ベビーベッド、ゴミ箱、洗剤、哺乳瓶の消毒グッズは当日すぐ使える状態に。 アフター(退院〜1か月)は、週ごとにメイン任務を回すとラク。 — 0〜7日:パパは家事と外回りの全オーナー。ママは回復最優先。 — 8〜21日:夜間の一回交代+日中の“抱っこ&寝かしつけ”をパパの固定種目に。 — 22〜30日:外来・役所手続き・買い物の伴走係をパパが担う。病院の説明はパパがメモして帰宅後に一分要約。 「“とるだけ育休”に見られないコツ」を三つだけ。 一つ、見える行動を最初に置く。帰宅したらまず洗濯を回す、シンクを空にする、ゴミ袋を替える。結果が残る仕事から入ると、お互いのストレスが減ります。 二つ、メモ共有を軽く回す。冷蔵庫かスマホに「オムツ/ミルク/洗濯」のチェック欄を置くだけで、指示待ちが消える。 三つ、日数より“中身+連続性”。短期間でも、毎日の5分作戦会議と担当のオーナー制が守られていれば、評価は“とるだけ”にはなりません。 もし迷子になったら、合図を三つ。 「ヘルプ」=今すぐ交代して。 「クールダウン」=いったん止めて10分後に再開。 「シャッフルデー」=担当を一日入れ替えて、詰まりの原因を発見。 合図を言えた人がえらい、がルール。ここを守る夫婦は折れません。 よくあるつまずきも先回りで。 —「手を出すと怒られるのが怖い」パパへ。任された範囲は最後まで自分のやり方でやってOK。ママは口を出さない代わりにありがとうの一言だけ返す。 —「何度言っても直らない」ママへ。評価ではなく観察で伝える。「昨夜の哺乳後、哺乳瓶がシンクに残っていた。朝の分が詰まった。寝る前に“哺乳瓶まで”をお願い」。一件だけで十分。 —「気力が切れた」二人へ。睡眠・水分・軽い散歩。体力は育児の土台。体が整うと、言葉はやさしくなります。 富山の夫婦へ、最後のひと押し。 この土地は、共働きが当たり前の空気があるぶん、“二人で回す”が似合う地域です。育休はキャリアの休止ではなく、家族のチームづくりのキックオフ合宿。期間は可能な限り長めに、始める前に役割を口で決める、毎日5分の作戦会議を欠かさない——たったこれだけで、赤ちゃんもパートナーも、そしてあなた自身も格段にラクになる。 今夜、三分だけ時間をください。テーブルに飲み物を置いて、こう言って始めましょう。 「“とるだけ”で終わらせたくない。期間の地図と、担当のオーナー制と、毎日の5分——この三つだけ決めよう」 これで十分、育休はうまくいく側に倒れます。富山の暮らし方に合った段取りで、ちゃんと勝ち取りに行きましょう。
第1章:育休取得率の増加と実態の乖離
男性の育休取得率は、政府の働きかけと社会全体の価値観の変化によって、確実に上昇しています。2022年度の厚生労働省の発表によれば、男性の育休取得率は17.13%。10年前の2.63%から考えれば、大きな飛躍といえるでしょう。
しかし、問題はその“中身”です。取得した男性全員が実際に育児に関与しているかといえば、答えはNO。先に紹介したように、過半数のパパたちが「何をすればよいかわからない」と感じており、育休中にも関わらず実質的な育児の主体者になれていない現状が浮き彫りになっています。 育休は、単なる“休み”ではありません。本来は、家庭における育児参加を促進し、家族の関係性を築く貴重な時間であるはずです。
それが、取得者本人にとっても、パートナーにとっても「思ったより役に立たない時間」になってしまえば、本末転倒でしょう。 この乖離の背景には、「制度の導入」ばかりが先行し、男性が育休中に何をすべきか、どうあるべきかといったガイダンスの欠如があるといえます。
また、職場側の無言のプレッシャーも大きな壁となっています。たとえ制度上は取得できたとしても、「育休を取ったら周囲の視線が痛い」「復帰後の立場が不安」という感情が、休みの本来の意味を曖昧にさせてしまうのです。 育休の「取得率」を上げるだけでなく、「質」や「成果」を問う視点が、今まさに求められています。
第2章:「とるだけ育休」とは?定義と問題点
「とるだけ育休」とは、育休制度を活用して一時的に仕事を離れるものの、実際には育児に主体的に関わっていない状態を指します。これは、本人にとっても社会にとっても大きな損失を招きます。 まず、本人にとってのデメリット。
何をしていいかわからず、無為に時間が過ぎることで、「自分は育休をムダにしているのでは?」という焦燥感や無力感を抱きやすくなります。これは、復帰後の仕事へのモチベーションにも影響を与える可能性があります。 次に、パートナーとの関係にもひずみを生みます。育休中なのに「結局私が全部やっている」と感じる妻。対して「手伝っているつもり」の夫。このギャップがコミュニケーションの断絶を生み、育児における信頼関係を築けない要因にもなります。 そして、社会全体にとってもこの問題は無視できません。
育休制度は税金で支えられている公共的な枠組み。制度を「取るだけ」で活用されないまま終わってしまえば、本来得られるはずだった効果(出生率の維持、家族機能の強化、ジェンダー平等の推進など)も実現できません。 「とるだけ育休」という言葉が示すように、育休の価値は“何をしたか”にかかっています。
なぜ「とるだけ育休」になるのか?
パパたちが陥る“育休の迷子状態”
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Point 01
目的のない育休は「空白期間」になりやすい
とりあえず育休を取ったものの、具体的な行動計画がないまま過ごすパパは少なくありません。時間に余裕があるにもかかわらず、何をすればいいのかが分からず、気がつけば“家にいるだけ”という状態に。これでは、せっかくの育休が形だけの空白期間になってしまいます。
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Point 02
家庭内での役割喪失が“無力感”を生む
育児の主導権を持つ妻に対して、パパが「何をしていいか分からない」と引いてしまうことは多いです。結果的に「自分がいてもいなくても同じでは…?」という思いに囚われ、育児への自発的関与が減少。この無力感が“とるだけ育休”の温床となります。
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Point 03
男性の育休に対する社会的支援・理解の不足
男性が育休を取得すること自体は増えてきたものの、「何をすべきか」の指針や情報、支援制度は依然として不足しています。ロールモデルも少なく、相談相手もいない。そうした孤立感が、育休中の行動の消極性につながりやすいのです。
第4章:夫婦間の認識のズレとコミュニケーション不足
育休中の男性がよく陥るのが、「やっているつもり」と「やってもらっていない」の認識のズレです。本人は手伝っているつもりでも、実際は妻の精神的・肉体的な負担が減っていない――こうしたすれ違いは、育児の現場では頻発します。
この背景には、育児や家事が“見えにくいタスク”であることが大きく関わっています。ミルクをあげる、おむつを替える、洗濯を干す、といった“目に見える家事”は比較的分担しやすいのですが、「赤ちゃんの泣き方の理由を推測する」「保育園の持ち物を前日夜に準備する」といったタスクは、気づかれないことも多いです。
また、育児スキルに自信のないパパが、知らず知らずのうちに“指示待ちモード”になってしまうケースもあります。そうなると妻は、「結局私がすべてを管理しないといけない」と疲弊してしまい、感情的な衝突が起こりやすくなります。
育休中においてこそ必要なのが、徹底したコミュニケーションです。感謝や意見の共有、家事育児の進め方についての話し合いを、日常的に行うことが、信頼関係の土台を築きます。 育児は“正解のない共同作業”です。すれ違いを避けるためには、「察する」のではなく「話す」、そして「決める」ことが、夫婦としての成長にもつながります。
第5章:「育児の主導権は妻にある」幻想とどう向き合うか
多くの男性が、育児の現場において「妻が主導するもの」と無意識に思い込んでいます。これは、「女性の方が慣れているから」「母乳があるから」といった物理的な要素に加え、長年根付いたジェンダー観が影響しています。
しかし、その認識は今や変わりつつあります。パパにも、できること・やるべきことはたくさんあります。たとえば、夜間の寝かしつけや沐浴、予防接種のスケジューリング、離乳食の準備など、物理的にも精神的にも担える役割は広がっています。 問題は、「やったことがないから分からない」「失敗したら怖い」という不安によって、一歩踏み出せずにいることです。妻も最初は初めての経験の連続です。
その不安を乗り越えてきたからこそ、今がある。ならば、夫も同じように“最初の壁”を越えていく必要があります。 また、育児を“マネジメント”と捉える視点も有効です。状況を把握し、情報を整理し、最適な行動を判断する。仕事で培ってきたスキルを家庭でも応用することで、パパならではの関わり方が生まれます。 「主導権を握る」のではなく、「共に担う」。この姿勢が、これからの育児スタンダードなのです。
第6章:育休を“自分ごと”に変えるためのマインドセット
育休というと、「会社を休む時間」という捉え方をする人もまだ多くいます。しかし本来の意味は「育児に専念するための時間」。その目的を見失えば、育休はただの“長期休暇”になってしまいます。
育休を“自分ごと”にするためには、まず「育児=妻の仕事」という誤解を捨てることが必要です。育児は家庭における“共同事業”であり、夫婦が共に当事者であることが前提です。 この意識を育てるには、自ら「知ろう」とする姿勢が重要です。育児書を読む、先輩パパに話を聞く、自治体のパパ向けイベントに参加する――情報を取りに行くことで、育児への理解が深まります。
さらに、“役に立とう”とするだけでなく、“自分の子どもと過ごす時間を楽しむ”という価値観への転換も大切です。子どもと接することが、自己成長や新しい気づきをもたらすことに気づいたとき、育休は人生におけるかけがえのない時間へと変わります。 育休を「もらった時間」ではなく、「使い切るべき時間」と捉えることが、自立的な関与の第一歩です。
第7章:とるだけ育休から抜け出す「行動リスト」10選
「とるだけ育休」を回避するには、明確な行動が必要です。ここでは、先輩パパたちの声をもとに、“やってよかった”と実感された行動を10個にまとめて紹介します。
毎朝の育児スケジュールを自分で組む
授乳やおむつ替えを“自分のルーティン”に組み込む
家事を「言われる前に」実施する
子どもとの“1対1”の時間を意識して作る
夜間の寝かしつけを担当する
地域のパパコミュニティに参加する
スマホを手放して“子どもと向き合う時間”を確保
離乳食やおやつ作りに挑戦してみる
妻に“1人時間”をプレゼントする
育休期間中に「できることメモ」を作り、可視化する
これらの行動は、どれも特別なスキルを必要としません。大切なのは、「やる」と決めること。日々の小さな積み重ねが、自信と主体性につながっていきます。
第8章:社会・企業が育休の“中身”を変えるためにできること
個人の努力だけでなく、制度的・文化的な後押しも育休の“中身”を変えるために必要不可欠です。 まず企業には、「育休を取らせる」ことを目的にするのではなく、「育休中の支援設計」が求められます。たとえば、育休中のパパに対して定期的な面談を行う、復職プログラムを提供する、パパ向けの育児セミナーを社内で開催する――こうした取り組みが、取得後の行動を大きく左右します。 また、メディアや自治体による「ロールモデルの可視化」も効果的です。リアルな体験談や、実践的なノウハウが公開されることで、「自分にもできそう」という感覚が芽生え、心理的なハードルが下がります。 さらに、学校教育や地域活動の中で、「育児は男女が共に担うもの」という価値観を育てる必要があります。これは、未来のパパ・ママを育てる土壌として欠かせません。 社会全体が「育児は個人の問題ではなく、文化の問題」と認識し、仕組み・空気・意識を変えていくことが、育休の本当の意義を支える基盤になるのです。
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